よく我々の方で「諸行無常」という言葉を用いてお話をすることがございます。「世の中に変化しないものは存在しない」という意味であることは、みなさまもご存じであると思います。しかし、どこかこの言葉には「寂しさ」のような感覚を私は覚えてしまいます。今月の標語は、ある庭師さんから教えてもらった、松尾芭蕉の言葉です。曰く「新しいものを取り入れて変化していく流行性こそ不易(いつまでも変わらないもの)の本質である。」ということで、庭の管理をしていると「庭のデザインそのもの」は変わらない中に、季節ごとに花や葉の色が変化していきますし、時にはカラスが苔をひっくり返したり、雪が積もればガラッと景色が変わります。それを肌で感じる庭師さんはこの芭蕉の言葉が体で理解できる。といっておりました。私の人生や心を庭に例えた時に、季節の変化やカラスの悪戯のように様々な出来事、変化が降りかかってまいる日々ですが、良い変化は受け入れて、悪い変化は直していく、そうして心の中に美しい庭を作っていけるような人でありたいと思うばかりです。